【感想】「ゲームの王国」読了
本など普段読まない私が手に取った。それだけ価値のある本であったと言える作品だった。
今回読んだ「ゲームの王国」は、小川哲の作品であり第31回山本周五郎賞受賞作品である。
舞台はカンボジア、上巻では赤狩りにより両親を殺された過去を持ち「正しい国家」を作るため政治家を目指すソリヤ、田舎町の天才児ムイタック、そしてポル・ポト政権に翻弄された人々を描く。下巻では脳波研究者となったムイタックは独自で脳波を研究していたアルンとともにムイタックの兄ティウンのゲーム会社で脳波を利用したゲームを開発するがムイタックはそのゲームにあるメッセージを残しており、ソリヤとムイタックは運命的な再会を果たす・・・
歴史的事実を背景にしながらSFという(少なくとも本を普段読まない私にとっては)非常に斬新な作品だった。
私は、Netflixで配信しているナルコスも一気見してしまったほど、こういった歴史をなぞる作品は大好きで、この作品はカンボジアの人口の20%が減ったと言われているクメールルージュの時代を生きた人々や死への恐怖が一人称視点で様々な人物、立場から語られるため、双方の思惑や駆け引きは緊張感や、リアリティがある。
実写化してほしいものだがいかんせん日本人原作、そして舞台がカンボジアとなるとなかなか難しい。
日本人が演じたところでしらけるだけだろうし、やはり無理だろう。
本当ならばこの作品の核である「ゲーム」や「ルール」について語りたいところではあるが、一気読みしたせいと図書館で借りて読んだため語ることができないのが残念なところである。
実際これでは本作の魅力の1%も伝えきれていないと思うが、実際本当に面白い作品だったのでぜひ読んでみてほしい。
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